食道がんの診断・検査

CT、MRI、PET検査

食道がん診療においては、各種画像診断によりがんの壁深達度の診断、リンパ節転移の診断、遠隔転移の診断により進行度診断を行っています。 さらに進行度診断に加え、悪性度の把握および全身状態の評価を踏まえて、治療方針を決定します【図8】

図8:食道がんの治療方針決定までの流れ

図8:食道がんの治療方針決定までの流れ

1)壁深達度診断

がんの壁深達度の診断では、表在がんは内視鏡検査、食道造影検査、超音波内視鏡検査などを行い、総合的に診断します。一方進行がんにおいては、狭窄が強く、内視鏡検査が不十分である場合や隣接臓器への浸潤の診断のために、CT検査【図9】MRI検査【図10】が有用です。

図9:CTによる壁深達度診断

図9:CTによる壁深達度診断

図10:MRIによる他臓器浸潤診断

図10:MRIによる他臓器浸潤診断

2)リンパ節転移、遠隔転移診断

転移の診断のためには、CT検査PET検査を施行します。
特に現在CT検査は高解像度の評価が可能となっており、小さなリンパ節や転移病変を立体的に描出することができます【図11】
PET検査は、がんで糖代謝が亢進することを利用した質的検査法で、食道がんのみならず、リンパ節転移や肺、肝、骨転移など、がんの全身検索が可能です【図12】

図11:造影MD(multi-detector)CTによるリンパ節診断

図11:造影MD(multi-detector)CTによるリンパ節診断

図12:全身FDG(fluorodeoxyglucose)-PETによるリンパ節転移、遠隔臓器転移診断

図12:全身FDG(fluorodeoxyglucose)-PETによるリンパ節転移、遠隔臓器転移診断

図13:MRIによる転移リンパ節診断

図13:MRIによる転移リンパ節診断

MRI検査PET検査と同様に、質的検査法として用いられます。拡散強調という機能を用い、リンパ節転移を抽出します【図13】

このようなCT検査MRI検査の形態診断と、造影CT検査、拡散強調MRI検査PET検査による質的診断を合わせて、評価の精度を高めることが重要です。

3)悪性度診断

同じ大きさの腫瘍でも、悪性度が異なることがあり、再発率や予後に影響し、治療方針を決定する上で重要な要素となります。

4)その他の画像診断の役割

図14:FDG-PETによる治療効果判定

図14:FDG-PETによる治療効果判定

食道がん治療を開始する時点では、上記の正確な病期診断、悪性度評価が必須となり、治療法選択時には治療効果予測が、治療後においては効果判定が重要です。

治療の効果判定においては、がんの大きさや形状、血流状態を評価する造影CT検査、糖代謝を評価するPET検査、拡散状態を評価する拡散強調MRI検査などが、組織学的効果に対応した効果判定を可能にしています【図14】

今後の課題の一つは、治療の効果予測ですが、現在様々な画像検査を用いて研究が進められています。