食道がんの治療
食道がんは、3人に2人以上が診断時には、リンパ節転移などすでに進行していることが知られています。リンパ節転移があっても、食道の近くのリンパ節にとどまっている場合には、局所治療が有効と考えられています。
局所治療には手術治療と放射線治療があり、手術治療が行われることが多いですが、食道がんが深いところまで進行していたり、近くのリンパ節に転移していたりする場合には、手術を行う前に化学療法(抗がん剤による治療)を行い、がんを縮小したり、目に見えないがんを抑えた上で手術を行う方が良いことが分かっています。
患者さんの体調が悪い場合や、診断時にはリンパ節転移がないような場合には、先に手術を行う場合がありますが、手術後にリンパ節転移が判明した場合には、術後に化学療法を行うことを検討します。
術前化学療法は、手術前のCT検査などで、食道がんが深いところまで進行している場合や、近くのリンパ節へ転移があるような場合に行われます。
フルオロウラシル系薬剤とプラチナ系薬剤の2剤を組み合わせて行うことが多く、主に入院で5-FUとシスプラチンの組み合わせが行われます。約5日間の点滴を、3週間毎に2回行うことが標準的な投与方法です。また、5-FUとシスプラチンにさらにドセタキセルを併用した治療法も最近試みられています。約5日間の点滴を3週間毎に2回あるいは3回行います。
抗がん剤の効果はCT検査などで確認しながら行い、もし効果が得られていないと判断された場合には、化学療法を中断して手術を行う場合があります。治療開始時に、がんがより進行していると判断される場合には、化学療法に加えて放射線療法を加え、さらなる腫瘍縮小を期待する場合もあります。最終的に術前療法が終了して2~3週後に内視鏡検査とCT検査などで再評価し、手術へ向かいます。
結果によっては治療方針が変更となる可能性もあるので、担当医とよく相談してください。
手術のための準備は、術前療法を行っているときから始まっています。手術を安全に行うためには、呼吸機能を保ち、栄養状態をよくすることが重要です。化学療法中は、食欲の低下や味覚が低下しますが、食べられるものを食べられるときに摂取して体重を落とさないことが重要です。担当医や看護師とよく相談して、手術までの計画を立ててください。
よりやさしい“食道がん”に関する情報や療養に関する情報および食道がんに関するQ&Aは、
国立がん研究センターがん情報サービス(下記リンク)を参照してください。