理事長挨拶

日本食道学会理事長 松原久裕
日本食道学会理事長
松原久裕

この度、たいへん伝統のある日本食道学会理事長に本年7月の本学会理事会にて選任され、評議員会、総会にてご承認いただきました。心より御礼申し上げます。その重責に身の引き締まる思いでありますが、本学会の飛躍・発展のため、皆様のご支援をいただき、私のすべての能力を注力し、邁進して参る所存であります。よろしくお願いいたします。

旧日本食道疾患研究会が学会へ発展的に移行し、理事長制となって以来、本学会の立ち上げ、基礎作りにご尽力なされた初代の幕内博康先生、安定的な成長・運営へご尽力なされた先代の安藤暢敏先生に引き続き第3代目となります。3代目が店を潰すなどということが巷では言われますが、そうならないよう頑張っていきたいと思っております。

私は理事長立候補の所信にも記載しましたように1999年より日本食道疾患研究会の幹事を拝命し、事務局の運営、全国登録業務、業績目録の編集などに尽力して参りました。2002年の研究会から学会への発展的移行にともない、磯野可一食道疾患研究会会長、今村正之食道学会会長のもと学会立ち上げのため事務局運営を中心に努力して参りました。学会移行後は幹事として事務局業務の支援、全国登録委員会委員として全国登録の推進、Esophagus編集委員会委員として安藤暢敏委員長の下、Esophagusの発刊、編集に尽力し、食道癌取扱い規約委員会委員として藤田博正委員長の下、第10版の規約改訂に、ガイドライン委員会委員として桑野博行委員長の下、食道癌診断・治療ガイドラインの発刊に、その他将来構想委員会、選挙管理委員会委員等を拝命し、本会の発展のために努力して参りました。2007年からは理事として選出して頂き、本学会の発展と安定した運営のために尽力して参りました。2012年には食道癌取扱い規約委員長を拝命し、来年の次期改訂第11版発行に向け準備を進めて参りました。幸運なことにこれまで本学会の多岐にわたる業務に携わらせていただき、たいへん感謝しておりますが、その経験を基に本学会のさらなる発展を目指していきたいと考えております。

現在、学会から専門医機構へ移行される専門医制度、医療法改正による第3者医療事故調査機関の設置による、医療事故による死亡例の報告が必要となる医療事故調査制度の施行など重要課題の山積している医療界において、本学会の取り組むべき課題も山積しています。このような社会的な問題についても本学会からも積極的に関わり、学会員が裨益できその結果治療を受ける患者さんがすばらしい医療を受けられるよう努力して行きたいと考えております。

一方で、食道疾患の診療・研究における日本の優位性は誰もが認めるところであります。X線や内視鏡をはじめとした診断、手術、放射線治療、化学療法などの治療、ミクロからマクロに至る病理、分子レベルで研究など世界に誇るべき業績が多数積み重ねられ、食道疾患研究会・食道学会の歴史とともにすばらしいものが築き上げられてきました。このすばらしい診療・研究体系をさらに発展させていくために、本学会から良性疾患・悪性疾患を2本柱として多くのことを発信できる『食道学』を推進する学会としての礎を作るべく、頂いた理事長として任期を十分に生かしていきたいと考えております。現在の本学会の会員数は2,300名を超えるあたりで停滞しています。本学会員になると日常診療や研究に役立つ情報等が享受できる学会を目指し、種々のクリニカルクエスションや研究テーマを題材として研究を推進したいと考えております。そのために研究推進委員会を新たに発足させることを理事会に認めいただき、現在その発足に着手しております。

このような日本の業績を世界へ発信するため、学会移行当初いろいろ議論されましたが、財政的基盤が確立していない状況であってもその強い想いから本学会の英文誌Esophagusを発刊することとなりました。その強い意志を引き継ぎ、Esophagusをさらに充実させ、積極的に本学会の業績を世界へ発信し、食道疾患治療・研究における世界の中心としての確固たる地位を築きつつ、また世界の食道研究者と連携を進めていきたいと考えております。日本から発足した国際食道疾患会議(ISDE)に関しても現在、事務局がカナダに移り弱体化している状況ですが、PresidentがKenneth K. Wang氏に新たに変わり今回のISDEの際に話す機会がありましたが日本の重要性を認識していることは判りました。ISDEとも連携をとって世界への情報発信を積極的に進めて行きたいと思います。そのための貴重な資源である会員の皆様にご協力いただき作り上げられた全国登録のデータベースを有効に活用していくためにも、全国登録の推進を積極的に行っていきたいと考えております。現在、本学会で登録事業を行っているのは食道癌だけですが他の食道疾患にも広げられる可能性を探っていきたいと思います。

私個人の力は限られております。本学会の発展のための全精力をあげ邁進して参りますが、皆様のご支援、ご協力が是非とも必要であります。今後の本学会発展のために、ご協力をお願いして、挨拶を閉じさせていただきます。よろしくお願いいたします。